陸上自衛隊木更津駐屯地専用線及び航空自衛隊第一補給処専用線跡

 千葉県木更津市に存在する陸上自衛隊木更津駐屯地は、支那事変前に設置された帝國海軍木更津航空隊を前身としている。飛行場を有しており、陸上自衛隊では第一ヘリコプター団を中心とした部隊が駐屯。また、同敷地内に海上自衛隊航空補給処も駐屯する。さらに、近傍には帝國海軍の木更津第二海軍工廠を前身とする航空自衛隊第一補給処もあり、木更津は陸海空三自衛隊の全てが市内に駐屯する、今も昔も防衛上の重要拠点といえる街である。
 これらの物資輸送のため木更津駅からかつて貨物専用線がのびていた。戦前の木更津航空隊時代に設置されていたものを流用していたと思われる。木更津からしばらく内房線に沿って北上し、やがて江川付近にある陸上自衛隊駐屯地に向かう線路と岩根付近の航空自衛隊基地に向かう路線に分岐した。陸自駐屯地に向かう線路を江川線、航空自衛隊に向かう線路を高柳線と、それぞれ呼んでいたようである。
 廃止されて相当な年月がたっているが、特殊な性格上、むやみやたらに線路を撤去しない(復活のためというよりも撤去費用が予算計上できないのか)ようで、全線の大半の区間でレールが残っている。調査は皇紀2668年6月1日。なお、本編では陸上自衛隊方面の路線を江川線、航空自衛隊方面の路線を高柳線と便宜上呼称する。

専用線は木更津駅から内房線に沿って北上し、江川線と高柳線に分岐するあたりで江川線は陸上自衛隊駐屯地方面へ西方に分岐し、高柳線は内房線に並行して航空自衛隊基地に向かっていた。木更津駅構内北端付近からすでに当時のレールがそのまま残っている。分岐点付近まではさながら内房線と三複線を形成しているかの如し。
内房線とほぼ並行しているのと、訪問時は6月であったために翠が生い茂っていたため、廃線跡直接歩行はあまりできなかった。分岐点直後に小川をわたる短い橋梁が、江川線(手前側)、高柳線(奥側)でそれぞれ残っている。この部分はレールがないが、当廃線跡の大きな遺構と言える。
江川線の橋梁跡から木更津駅方を望むが、灌木が生えており侵入は難しい。レールが残っているはずだが、よくわからない。
高柳線の橋梁跡。この部分は枕木とレールが撤去されている。しかし、道路をまたいだ反対側にはレールが続いている。
高柳線と内房線。木更津駅構内北側よりは若干内房線との距離が開いている。
内房線踏切から廃線跡を望む。
高柳線の橋梁から木更津駅側を見るとここも灌木が茂っているがかろうじて「国有地 立入り禁止」の看板が見える。
高柳線の航空自衛隊補給処側は、レールがそのまま続いている。時期上、藪に覆われているのは致し方ない。
高柳線のレール上から内房線を望む。
まずは江川線を進んでみる。踏切以外はほぼレールが残されていると言って過言ではない。
江川線の踏切跡(アスファルトで埋もれている)と道床の境界にある用水をまたぐところには排水管が設置されているが、専用線のものかね?
手前側にわずかに見える江川線のレール。奥には内房線の架線柱が見えるが、その前に見える草むらの連なりは高柳線である。
踏切はアスファルトで埋められてしまった。たぶんレールはそのままだ。
廃線跡にはいたるところに国有地を示す看板が。
下にある用地標も国鉄ではなく防衛庁となっている。
鈍く輝くレールが続く。列車を通さなくなって既に30年以上経過していると思われるが、その間よく耐えてきた。この先もレールは続くが翠が深くなり、それとともに有機地雷「イヌクソ」がそこかしこに見受けられたために追撃を断念した。
最後に江川線から木更津駅方面を望む。また来たい廃線跡である。
今度は迂回して岩根小学校付近の高柳線跡に躍り出た。高柳線も全線でレールが残っている。おりしも高柳線現役時代には存在しなかった211系が通過していく。
同上地点から木更津駅方面を望む。廃線跡は駐車スペースと化している場所もある。
岩根小学校前の廃線跡はまさに駐車場である。内房線はここからカーブしていくが、高柳線はほぼ直線。
しかし、この付近のレール、ナロー並に狭い箇所がある。かなり不自然。
翠に覆われた道床とレールが続く。
土くれに埋もれた高柳線。内房線の車窓からも意識すれば見えるほど近い。
小学校前を過ぎてもレールは続く。
高柳線も踏切は埋められている。それより枠だけになった看板が痛々しい。
再度木更津駅方面を振り返ってみる。レールが鮮明に見えない時期は農道にしか見えないね。
踏切からすぐ北に補給処があるが、直前の小川をわたる橋梁が通行不能なため、再度迂回する。
枕木は朽ちはてているがレールはそのまま残っている。柵が設けられており、橋の上を通行することは不可能である。
高柳線の終点の航空自衛隊補給処の直前、道路を渡る手前でレールは寸断されている。基地内に施設跡やレールが残っているかはよく分からない。

 しぶといほどにレールが残り続ける希有な廃線跡である。

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